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インドのIT都市バンガロールとは?IT産業が発展した理由と日本企業の進出

Bangalore Global Capability Center

IT大国インド:世界のIT産業で存在感を高める理由

近年、インドは世界のIT産業において不可欠な存在となっています。ソフトウェア開発やITサービス産業などを中心に、多くのインド人材が活躍しているだけでなく、さまざまなグローバル企業がインドに拠点をかまえています。こうした状況から、インドは企業の海外進出先としてだけでなく、高度人材の採用市場としても注目を集めています。

世界のIT産業で強まるインドの存在感

インドでは毎年150万人以上の学生がエンジニアリング専攻を卒業し、国内外のIT産業を支えています。また、インド政府は「デジタル・インディア」戦略をはじめとするさまざまな政策を積極的に実施しています。この政策を通じて、行政のデジタル化や人材育成が推進されてきました。
こうした人材輩出と政策的な後押しを背景に、MicrosoftやAmazonといった大手テクノロジー企業はインドに巨額の投資を行い、事業をますます拡大させています。このように、インドは世界のIT産業を支える重要な拠点の一つと位置付けられているのです。

バンガロールが「インドのシリコンバレー」と呼ばれる理由

バンガロールは、インド国内でもとりわけ多くのIT企業や技術者が集まる都市として知られています。その産業構造がアメリカのシリコンバレーと重ねて語られることから、「インドのシリコンバレー」と呼ばれることもあります。本記事では、「インドのシリコンバレー」と呼ばれるバンガロールの基礎情報を整理するとともに、日本企業がインド人材を採用する上で役立つ視点を交えながら、その特徴を紹介します。

インドのIT都市バンガロールとは

はじめに、バンガロールの基礎情報をまとめます。

所在地:インド南部。ハイテク産業が盛んなカルナータカ州の州都
人口:約1440万人(2025年時点)

バンガロールは、インド南部のカルナータカ州の州都です。日本からは直行便もあり、バンガロールにあるケンぺゴウダ空港までは約10時間のフライトとなっています。近年人口が急増しており、1950年には約75万人でしたが、現在はその約20倍です。インド国内では、デリー、ムンバイ、コルカタに続いて4番目に人口の多い都市です。バンガロールは標高920mに位置し、その快適な気候から「インドの軽井沢」と呼ばれることもあります。フェニックスマーケットシティーやPhoenix Mall of Asiaといったショッピングモールが充実しているほか、街中に街路樹が多く植えられていて庭園都市と呼ばれるほど自然で溢れている街となっています。こうした環境の中で快適な生活を送ることのできる都市として、日系企業も多く進出しています。

バンガロールがIT都市として成長した背景

「インドのシリコンバレー」と呼ばれるバンガロールは、なぜIT都市として発展したのでしょうか。その歴史と要因を探ります。

IT都市バンガロールの発展の歴史

・1980〜90年代:IT産業発展の基盤形成
・2000年代:多国籍企業のグローバル戦略、研究開発拠点化
・近年:スタートアップ企業の拠点として発展

バンガロールは、当初、アメリカのIT大手企業のオフショア拠点として注目を集めました。1980年代後半から1990年代にかけて行われた、インド政府による規制緩和や経済自由化がそのきっかけとされています。これらの政府の取り組みによって、IT産業が発展していく環境が整ったのです。その後、この動きを受けて世界各国の企業がバンガロールを拠点として選ぶようになりました。現在では、企業のグローバル戦略拠点や研究開発拠点が集まる、世界有数のイノベーション拠点となっています。また、企業が進出しやすい基盤が整っていることから、バンガロールに拠点を置くスタートアップ企業の数も増加しています。

バンガロールにIT企業が集積した3つの要因

バンガロールがインドを代表するIT都市へと発展した背景には、主に以下の3つの要因があります。

①研究機関・理工系教育機関の集積
バンガロールには、インドを代表する研究機関や理工系教育機関が集積しています。
その代表例が、世界的にも評価の高い研究大学であるインド科学大学院(IISc)です。さらに、宇宙開発機関であるISRO(インド宇宙研究機関)や航空宇宙関連企業などの研究開発拠点も多く存在しています。こうした研究機関の集積により、高度な理工系人材が継続的に育成される環境が形成され、IT産業の発展を支える人材基盤が築かれました。

②外資系IT企業の進出による産業集積
1990年代にインド政府が経済自由化を進めたことをきっかけに、多くの外資系企業がインドへ進出しました。 なかでもバンガロールには、Texas InstrumentsをはじめとするIT企業やテクノロジー企業が早くから拠点を構え、ソフトウェア開発や研究開発の拠点として成長していきました。こうした企業の進出により、関連企業やスタートアップが次々と集まり、IT産業のエコシステムが形成されました。その結果、バンガロールはインド最大級のIT産業集積地へと発展していきました。

③英語環境とアウトソーシングに適したビジネス条件
バンガロールでは英語が広く使用されており、多国籍企業とのコミュニケーションが円滑に行える環境が整っています。また、アメリカとの時差が約12時間であることから、業務を分担することで24時間体制で開発やサポート業務を進めることが可能です。こうした条件は、欧米企業がソフトウェア開発やITサービスのアウトソーシング拠点を設ける上で大きな利点となりました。その結果、多くのグローバル企業がバンガロールに拠点を設置し、IT都市としての発展をさらに後押しすることとなりました。

IT都市バンガロールの特徴と魅力

ここまで、バンガロールがIT都市として発展した背景についてまとめました。多くの外国企業がこのような発達した都市に進出することには、バンガロールならではの魅力があるからだと言えます。ここでは、人材そして企業のスタートアップに焦点を絞り、バンガロールの特徴に迫ります。

IT人材都市・バンガロールを支える教育機関

バンガロールでは、優秀なIT人材が非常に多く輩出されており、企業からも評価されています。その理由には、ITに関連するハイレベルな研究がなされている教育機関が多くあることが挙げられます。以下では、バンガロールを代表する研究、教育機関を紹介します。

産学連携が活発なバンガロール国際情報技術研究所

IIIT-B(International Institute of Information Technology Bangaloreの略)は、バンガロール国際情報技術研究所という研究所です。教育と研究、起業家精神、イノベーションに重点を置いてIT業界に貢献するために、1998年に設立されました。産業連携を活発に行っていることで知られ、国際的にトップクラスの大学に匹敵する学術文化の確立を目指しています。

「インド産業の父」ジャムシェトジー・タタ氏が創設者のインド理科大学院

IISc(Indian Institute of Scienceの略)は、インド理科大学院という大学院です。「インド産業の父」と呼ばれる実業家ジャムシェトジー・タタ氏が1909年に創立しました。発足時は一般・応用科学と電気技術の2学部のみでしたが、現在は材料科学やコンピューターサイエンスとオートメーション、脳科学、ナノサイエンス・工学といった幅広い研究分野を網羅しています。政府機関や民間企業、民間研究所とも活発に連携をとっています。

また、IIScはインド政府が発表する大学ランキング「NIRF(National Institutional Ranking Framework)」の2025年版において、University部門およびResearch Institutions部門の両方で第1位を獲得しており、その高い研究力と教育水準を示しています。このような研究、教育機関で培われた高度な専門性を持っていることや、産学連携が活発であることから、多くの企業が人材の基盤としてバンガロールに注目しています。日本企業にとっても、バンガロールの人材は即戦力として期待されています。

スタートアップ企業が集まるIT都市バンガロール

インドのスタートアップ企業の約30%がバンガロールに集中していると言われています。

インドでは近年、スタートアップ企業やユニコーン企業の数が増加しています。2014年〜2019年の間にインド国内で誕生したスタートアップ企業は約9100社となっており、そのうち24%がバンガロールで創業しました。このことから、バンガロールはインド国内において特にスタートアップ企業が集まる中心的な都市であると言えます。また、スタートアップ企業のうち、未上場かつ評価額が10億ドル以上であるユニコーン企業は、2025年時点でインド国内に68社あります。この企業数は、米国、中国についで世界第3位となっています。

このように、国際的にみても高い注目を集めるインドは、バンガロールをはじめとする国内の主要なスタートアップ拠点都市におけるスタートアップ企業の集積によって支えられています。

スタートアップ企業がバンガロールを拠点として選ぶ理由

このように、バンガロールはインド国内においてスタートアップの集積が進んでいる都市となっています。その要因としては、以下の2点が考えられます。

①高度人材の存在
先にご紹介したIIIT-BやIIScをはじめとする研究、教育機関などから輩出される人材が豊富であることが挙げられます。これらの機関では産学連携も盛んに行われていることから、実務経験を積んでいる人材も多くおり、スタートアップ企業にとって即戦力となる人材を確保しやすい環境が整っているといえます。

②投資環境
多くの投資家がバンガロールに注目しており、スタートアップ企業が比較的早い段階から資金調達をしやすい環境があります。2025年上半期のインドのスタートアップ資金調達チャートでは、バンガロールが首位を獲得しました。バンガロールで行われた取引は143件、獲得した資金額は39億ドルとなっています。これは国全体で調達された資本の40%を占める数です。

グローバルIT企業が集まるバンガロール

バンガロールには、スタートアップ企業だけでなく、世界のさまざまな企業の拠点が置かれています。例えば、オランダ発祥のフィリップス、ドイツ発祥のボッシュなど、多くのグローバル企業が進出しています。

IT都市バンガロールと日本企業の関係

バンガロールは、在留日本人コミュニティの規模や日本企業の進出数から見ても、日本との関係性が深い都市の一つとなっています。バンガロールにある日本人会の登録会社数は133社、個人数は1021人となっています。また、2025年時点でバンガロール日本商工会に登録している企業は222社にのぼっています(2026年1月現在)。こうしたデータは、バンガロールにおいて日本人コミュニティが形成されていることを示しており、日本企業が当地で活動を行いやすい環境が整っていることの表れとも言えるでしょう。

日本企業がバンガロールに進出する理由

日本企業がバンガロールに進出する理由は、主に3点あります。

①快適な気候
高温多湿な地域が多いインドの中でも、バンガロールは標高が高いことから比較的冷涼で、年間を通して過ごしやすい気候となっています。日本からの長期滞在者にとって、生活面での負担が少ない環境であるということは、安定した現地拠点の運営にもつながるでしょう。

②アクセスの良さ
日本航空の直行便が就航している点も、日本企業にとって大きな利点と言えるでしょう。2025年時点では、週に4〜6便が運航しています。往来のしやすさは、本社と現地拠点の連携を密に保つための重要な要素の一つです。

③州政府の外資誘致の姿勢
3点目は、外資導入に熱心な現地州政府の存在があります。2012年に、バンガロールのあるカルナータカ州に新規工場を設立する場合に必要な手続きがオンライン化されました。この変更により、手続きの透明性が向上したことに加え、手続きに要する時間が短縮されています。

バンガロールにおける日本企業の進出事例

こうした理由から、多くの日本企業がバンガロールに進出しています。その始まりは、1997年にトヨタ自動車が現地財閥と組んで合弁事業を立ち上げたこととされています。それ以来、バンガロールにおける日本企業の存在感は高まってきました。在インド日本国大使館およびJETROの調査によると、2022年時点でバンガロールに進出している日本企業の数は400社に及んでいます。例えば、DAIKIN AIRCONDITIONING INDIA、Canon India、Fujitec India、Hitachi Indiaなど、さまざまな業界の企業が進出していることが分かります。バンガロールは、日本企業にとって単なる進出先ではなく、グローバル戦略上の重要な拠点となりつつあるのです。

日本企業が期待するインド人IT人材

こうした魅力あふれるバンガロールへの進出や、優秀なインド人人材採用への期待は、世界各国で高まっています。日本では、経済産業省の推計によると、2030年に国内のIT人材が約80万人不足するとされています。こうした状況を乗り越える解決策の一つとして、海外からの優秀な人材採用が挙げられます。また、単純な労働力という目的ではなく、彼らが高度な教育を受け、即戦力として活躍できる人材であることから企業の競争力を高められるとも考えられるでしょう。

日本企業とインドIT企業の協業事例

日本企業と現地企業との協業も数多く行われています。実績例として、バンガロールに拠点をおく設計および技術サービスを提供するタタ・エレクシー社と日本のルネサスエレクトロニクス株式会社の協業をご紹介します。この2社は、2022年に電気自動車向けソリューションを開発する最先端イノベーションセンターを設立するために協業しました。バンガロールに設置されたこのセンターでは、両社の技術的な強みを活かしながら実用的なソリューションの共同開発が進められています。こうした事例から、インド企業と日本企業が互いに支え合うパートナーとして捉えていることが分かります。

日本企業によるインド人IT人材の採用

このように、日本企業にとってのインド人材の活用は、単なる人手不足対策にとどまらず、世界規模で競争力を高めるための重要な選択肢となりつつあります。特に、IT業界では優秀な人材確保が企業を左右するとも言えるでしょう。こうした背景の中、バンガロールを中心としたインド人材への注目は年々高まっており、日本企業による進出やインド人材採用の動きも活発化しています。TechJapanでは、インド進出や人材採用に関する豊富なサービスを提供していますので、ぜひお気軽にお問合せください。