2025-04-15

Press Release

インド工科大学、通称IITとは?

インド工科大学、通称IITとは?

インド工科大学(Indian Institutes of Technology、略してIIT)は、インドの中で最も権威のある技術系の高等教育機関です。1947年のイギリスからの独立後、インドの経済的・社会的進歩を目的として知的水準の高い労働力の育成が求められ、科学者と技術者を養成するために、1951年にインド政府により第1校が設立されました。

現在では23のキャンパスまで拡大しており、毎年推定150万人以上の応募がありますが、その中でインド工科大学の席を獲得できるのは約1%の1.5万人程で「世界最難関大学」とも呼ばれています。学生達は卒業後シリコンバレーを始め、世界中で大企業の経営者やCTOとして活躍しています。IITは、厳しい入学試験を通過した優秀な学生を育成し、世界中の企業で活躍する多くの卒業生を輩出しています​​​​。

IIT学校一覧

 

インド工科大学(IIT)卒業生の活躍

まずは、Alphabet/グーグルCEOのサンダー・ピチャイ氏。IITカラグブール校を卒業し、スタンフォード大学で理学修士を取得、ペンシルヴァニア大学でMBAを取得しています。元ソフトバンクグループ副社長で現パロアルト・ネットワークスCEOのニケシュ・アローラ氏はIITヴァラナシ校を卒業。IITカラグブール卒業生のアルン・サリン氏は、通信大手ボーダフォンの前CEOを2003年から2008年の期間務めていました。また、インフォシスの創業者であるナラヤナ・ムルティ氏はIITカンプール卒業など、IITを卒業し世界で活躍する注目すべき人材が多く見られます。

 

インド工科大学(IIT)の特徴と魅力

IITの特徴は、その高い教育水準と厳しい入学基準にあります。毎年推定150万人以上が受験する「JEE」試験を通過しなければなりません。IITの卒業生はGoogleやIBMなどの大手企業で活躍しており、その実績が世界的に評価されています​​​​。

 

インド工科大学(IIT)の入学難易度

IITに入学するには、JEE(Joint Entrance Examination)と呼ばれる共通テストを受ける必要があります。JEEには1次試験(Main)と2次試験(Advanced)があります。1次試験は後期中等教育中央審議会(The Central Board of Secondary Education、CBSE)が主催し、IIT以外の技術系大学を目指す学生も対象とされています。対しIITが主催する2次試験は、1次試験の成績上位者のみが受験できる仕組みとなり、JEE – Main(1次試験) は推定150万人の学生が受験すると言われますが、上位約1.6%前後の2.5万人が2次試験に進めると言われます。年によって違いがありますが、1次試験通過者が上位1。6%、2次試験においては合格者は1.5万人前後となるため、実際に入学できるのはテスト結果上位約1%のみとなります。この入学難易度の高さが、IITは世界でも最難関の大学の1つに数えられている理由に数えられます。

 

インド工科大学(IIT)のカレッジランキング

インド政府によって作成された、国内の高等教育機関のランキング表「NIRF」をもとにインド工科大学の順位をみていきます。このランキングは「教育、学習、リソース」、「研究と専門的実践」、「卒業結果」、「対外支援と包括性」、「認識」の5つ評価軸によってそれぞれの大学にスコアがつけられ、順位が決められています。

2024年のNIRFのエンジニアリング部門のインド国内大学ランキングは以下になります。上位10校の内、IITは9校がランクイン。インド国内のランキングにおいても、水準の高さが伺えます。

インド工科大学(IIT)のカレッジランキング

 

インド工科大学(IIT)卒業生の採用メリットとは?

IIT卒業生を採用するメリットは、その高度な技術力と問題解決能力にあります。彼らは多文化環境での適応力が高く、国際的なプロジェクトでリーダーシップを発揮しており、数多くの企業において重要なポジションについています。今後日本における高度IT人材獲得に向けても、IIT卒業生の採用には多くのメリットがあります。

 

優秀なIT人材を輩出するインド

難易度の高い入学試験を突破し、世界で活躍するIT人材を多く輩出しているIITですが、インドの特徴としても優秀な人材を多く輩出しているデータがあります。

AIやビッグデータ解析などで重要となるSTEM関連分野においては、科学・数学・統計学などを専攻した上位10カ国の卒業者数は約900万人(2020年時点)。国別では、1位中国(357万人)、2位インド(255万人)、3位アメリカ(82万人)となり、経済成長が著しい中国に次いで2位の255万人となり、多くの卒業者を輩出しています。一方で日本は、19万人(11位)となり、STEM学習分野においてインドは日本と比べても約13倍前後の差を付けています。

 

日本企業のインド人採用に対する期待

JETRO(日本貿易振興機構)と Tech Japan(弊社)によるインド人採用企業を対象とした共同調査内容においては、日本企業によるインド高度人材の採用に関しては80%の企業が採用・定着に関してポジティブに評価しています。また、他国との人材と比較した際のメリットとしては主に以下の3つが挙げられており、自分の意見を積極的に発言する姿勢や、失敗を恐れずに挑戦するマインドが評価されており、採用においても前述した挑戦するマインドや、特にエンジニアにおいては優秀な人材が多いことが挙げられており、先端IT業界人材が不足するとされている状況下において、優秀なインド人採用の需要が高まると予想されます。

 

日本における高度IT人材の不足

2030年に先端IT人材約59万人が不足すると報告されている中、高度IT人材の卵であるSTEM学位取得者数については、中国が41%、インド30%、と目立つ一方、日本は19%と少数。また、在日高度人材数において、中国人、インド人は上位2位を占めています。これらのデータから、日本は中国やインドと比較し国内に理系人材が少ないこと、また、インドに多くの優秀な人材がいながらも、日本で就業しているインド人は限られていることが伺えます。求められるITスキルが高度化する中、日本のITスキルレベルはアジア近隣国と比較して低く、人材育成と並行し先端ITを担う高度外国籍エンジニアの受け入れの重要性は高くなると予想されます。

■高度人材の在留者数

国籍・地域別高度外国人材の在留者数

※参考:高度外国人材の受入れ状況等について (出入国在留管理庁)

上記背景もある中で、2022年3月には岸田首相(当時)とインドのモディ首相による首脳会談が開催され、高度人材の日本企業への雇用支援を含む「日印デジタル・パートナーシップ」を発表。インドのIT専門家が日本において就労する就労する機会の提供に向けた支援及び IoT、AI その他新興技術の分野における連携を通じてデジタル経済を強化することを視野に入れており、日本の ICT 分野に貢献する高い技術を有するインドのIT専門家を更に誘致することへの期待を表明しています。
※参照:外務省HP(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100319655.pdf

日本における今後の時代背景もあり、インド人の高度IT人材や、IIT学生へのアプローチは重要さを増してきています。

 

インド工科大学(IIT)から優秀な人材を採用する方法

インド工科大学から優秀な人材を採用する方法として、先ずインドにおける採用方法を把握することが重要です。採用開始時期、採用の仕組み、採用参加方法など、インド現地の採用希望先大学の採用情報を把握していない状態では優秀な人材獲得は難しくなります。

日本の学生の採用活動とは大きく文化が異なり、現地大学が指定する独自採用ルールもあり、各大学のルールを把握し、より良い人材へのアクセスが難しい状況があります。更に、面接当日においては限られた時間内で候補者の評価を行い、その日の内にオファーする必要があることにも難しさがあります。人格面およびスキル面の評価が難しく、新卒候補者の母集団を十分に形成できないなどの障壁があります。

IITの優秀な学生を採用するためには、ITの採用ルールを理解し、企業主体で採用活動に取り組む必要があります。

 

日本とインドにおける採用活動の違い

日本における学生採用の多くは、学生の企業理解促進が主体となっています。学生自身が企業研究などをして、自分で希望のエントリー先を決定、採用ポータルを活用し学生が応募する行動が主体です。エントリーシートなどをもとに企業が採用プロセスに進む候補者をリスト化し、学生が企業の定めるスケジュールに沿って企業訪問、面接などに臨みます。1次面接から内定が出るまでの期間も、数週間前後はかかる場合が多いです。

一方で、インドにおける採用活動においては、企業から大学にアプローチして条件に合う学生を募集し、学生はどの企業が自身の大学で採用活動をするか、採用募集がかかるまではわからない状態となります。また面接は短期集中で候補者全員を1日、数時間で全て面接する方法となります。

学生にとって就職先は、各大学で採用活動をする企業以外に選択肢は無く、企業研究はほとんど行われない場合が多く、企業の提示する条件(学科・成績・スキル)によって大学採用課が採用試験に進む候補者リストを作成し、企業に提示します。面接を実施したい企業は、大学採用課が定めるスケジュールに沿って大学を訪問し面接などを実施、面接当日に内定を出すという採用活動になります。

 

面接開始日「DAY1」とは何か

各IITによって、若干のルールの違いはあるが、基本的なIITの採用活動においては、12月1日はIITにおける採用活動の解禁日であり「DAY1」と呼ばれます。IITでは企業の採用活動に制限があり、採用面接や内定提示は12月1日以降に実施を行います。「DAY1」は各IITトップの学生をめぐりGAFAM級の企業が採用面接実施を行う重要な日となります。12月1日には「IITの学生に年俸数千万円のオファー提示」といった報道が毎年行われるくらい、12月1日の「DAY1」は注目度が高い状況です。

DAY1はトップレベルの学生に面接できるため、面接枠獲得には競争が発生します。下記は「DAY1」の時間割の例です。面接枠は早朝、午後、夜間の入れ替え制で、1回のみ実施。数人〜数十人の候補者を5時間ほどで選考して内定を出す採用活動となり、コーディング試験・技術面接・人事面接と複数回の面接を流れ作業のように実施することもあります。

■面接日「DAY1」の例
IIT面接日の例
※参考例のため、実際のスケジュールとは異なります

 

インターンシップ活用の重要性

「DAY1」における面接枠獲得の重要性は年々高まる一方で、より多くの優秀な人材を獲得するための方法として、インターンの活用が挙げられます。従来の採用プロセスでは、短時間の面接や書類選考のみで判断せざるを得ないため、スキルや価値観の適性を十分に見極めることが難しく、結果として入社後のミスマッチが生じることも少なくありません。しかし、インターンを通じて業務の実態を理解し、企業との相性を確かめる機会を提供することで、応募者は自身に合った職場かどうかを判断しやすくなり、企業側もより適した人材を見極めることが可能になります。

特にGAFAMなどの有名な企業との競争に対して少しでも有利に採用を進める為には、学生と大学に企業が認知され、面接・就職先としての優先度を上げるインターンシップの活用が重要です。インターンシップは、IIT採用において主要となる計算機科学や電気工学科以外の幅広い学科から良い学生を募集できるメリットもあるため、母集団の形成にも有効な手法となります。また、学生が知りたがっている情報をインターンの期間を通して提供することは、見知らぬ国で働く不安を解消することにもなるため、学生・企業間の相互理解を深め、円満な採用に向けた行動が可能です。インターンシップを積極的に活用することは、良いと思った学生に早い段階で内々定を提示できる重要な機会となります。

■参考:IIT Hyderabadでの採用の流れ (2024年度)
IIT Hyderabadでの採用の流れ (2024年度)

 

まとめ

インド工科大学出身の人材は世界でも活躍し、優秀な人材を多く輩出しています。近年では世界大手企業からの注目度も年々高まりを見せており、日本における採用活動も増えています。IITkから優秀な人材を採用する方法は、日本においては一般化できておらず、採用に向けては豊富な実績や知見を有するエージェンシーとの協力が不可欠です。TechJapanでは、IIT採用におけるプラットフォームの用意と、多くの日本企業への採用実績があります。高度IT人材、IIT卒業生の採用など、お気軽にご相談ください。