インド工科大学(IIT)をはじめとするインドの優秀な学生の採用を支援するプラットフォームTechJapanHub。サービスの一環であるサマーインターンを通して選考し、採用を決めた企業様にインタビューさせていただきました。 今回は、資材販売や工事力の提供、ITによる業務支援、不動産事業など「住」領域に多事業を展開するLTUホールディングス代表の原田岳さんにお話を伺います。
株式会社LTU / スタンダードフォース株式会社 代表取締役社長 原田 岳
インターン受け入れ:4名 採用:2名
ーはじめに、TechJapanHubをご利用いただいた背景を教えてください。
営業コンサルティング会社から紹介を受けて利用しました。新卒採用に困っているわけではありませんでしたが、高度人材を採用できるというところに興味を持ちました。インド工科大学(IIT)の存在やインド高度人材という言葉は、実際にTechJapanの方と話して初めて知りました。ただ、IITの学生は数学の基礎学力があった上でプログラミングを学んでいると聞き、良い人材と巡り合えるのではないかと思いました。
これまでは、ユーザーインターフェースや業務フローの設計などは自社で対応していましたが、商材設計やプログラミングは外注していたのです。ここを内製化できれば、確実に開発速度が上がります。内製化はまだ先だと考えていましたが、良い人材が入れば予定よりも早く進められるかもしれないと考えました。
ーインターンをどのような流れで進めましたか。
まず会社概要の説明書をTechJapanと一緒に作り、大学側に提出しました。その後、オンラインで会社説明会を実施。最大170名が参加してくれ、実際に応募も100名以上ありました。びっくりしましたね。ただ、履歴書は見たことのない形式で、経歴を見ても何を評価すれば良いのかわからない状態。TechJapanに一緒に確認してもらいながら、12名まで絞り込みました。
その後オンライン面接をして、最終的に4名をインターンに迎えました。みなさん様々な切り口で自己PRをしてくれる中、主体的にプロジェクトに取り組んだ経験を重視しました。TechJapanHubのサービスで、実際にどんなコードを書いてプログラムを作ったか確認できたので、使っている言語がなるべく近い人を選びました。
ーどんなサマーインターンを行い、どんな成果がありましたか。
インターンでは、弊社で作っている販売管理システムのダッシュボードを開発してもらいました。インターン用にサーバーを用意し、開発している大規模なメインシステムのデータベースをインストール。自由に使ってもらえるように準備しました。
最初は10日ほど、どんな分析資料があるか確認し、勉強してもらう時間を設けました。デイリーレポートを書いてもらって進捗を確認していましたが、みなさん細かく調べていましたね。一般的な経営指標は網羅されていましたし、「重回帰分析を使えば自動で売上目標を立てられるんじゃないか」など提案もしてもらいました。実際に重回帰分析で目標を立てると、売上が下がったら目標値も下がってしまうので駄目なのですが、実務に活かせるようなアイデアまで出してもらいましたね。
その後、完全に同じ開発言語を使っている人はいなかったので、弊社で使っている開発言語を勉強してもらいました。すると向こうから「こういう教材を与えてください」と提案があったので、その教材を提供して勉強してもらいました。コード解析も自分達でやってくれましたし、扱ったことのない言語でも、自分たちで学んでできるようになっていましたね。
最終的に2ヶ月半で、目標としていたサーバーへの組み込みは間に合わなかったのですが、ダッシュボードを表示するところまで完成させてくれました。
ーインドの学生たちと接して、どう感じましたか。
自分で勉強して作ろうという意欲とスピード感が、期待をはるかに上回っていましたね。うちに入ってくる新卒は、日本人でも比較的自分で考えて行動できるタイプの人が多いです。しかし、インドのみなさんは桁違いでした。一つの開発言語を5日くらいで学習していましたから。数学の基礎がしっかりしているので分析の話もすぐに理解してくれましたし、地頭の良さを感じました。
ー採用の決め手を教えてください。
4名中、2名を採用させていただきました。能力はみなさん高かったですが、実際に一緒に働いてみて柔軟性の高い人を選びました。彼らはいろいろな提案をしてきてくれましたが、私たちにはお客様がいるので、提案通り変えられない部分もあります。それを理解して寄り添ってくれるか、ひたすら提案を繰り返してくるかの違いがあり、自己主張はしつつもバランスが取れる人を採用しました。2ヶ月半、毎日いろいろな質疑応答を繰り返し、実際にプログラムを作ってもらったので、より個人の特徴や能力が見えました。書類選考ではさっぱり分からなかったと思います。こちらも勉強になりました。
ー受け入れの中では、どのようにコミュニケーションを取りましたか。苦労した部分や気づきがあれば教えてください。
フルリモートだったので、日頃はメールやチャットでやりとりしていました。週に1度、1時間ほど対面のミーティングも設けました。最初の頃はアイスブレイクに日本の話をしていましたが、途中からは開発の勉強の話や実務の話になって、1時間が1時間半、2時間になることもしょっちゅうでしたね(笑)。
難しかったのは、会話でのコミュニケーションです。私はアメリカへの留学経験がありましたが、ブランクがあるのと、インド訛りの英語の聞き取りにくさとで、何を言っているか分からない部分がありました。しかし、重要な契約などの話の際はTechJapanの方が通訳で入ってくれたので、問題はなかったです。ビデオ通話をするとき、リアルタイムで英語を英語で書き起こすと理解しやすいこともわかってきたので、ツールも活用しながら徐々に慣れていきました。
あとは実務をする際に、使っている開発言語が違うことはわかっていたのですが、データベースやファイルのバージョン管理のやり方などまで違っていたことに驚きました。世界と日本とで常識が違う部分があるのです。自分たちのやり方がオーソドックスだと思っていましたが、世界からみると日本が特殊で。そういう面もインターンしてみて気がつきました。
ーTechJapanのサポートはいかがでしたか。
インドの大学は採用プロセスが複雑ですが、TechJapanさんの方で、すべきことが構築されてるのでやりやすかったですね。ミーティングにも頻繁に参加してもらったので、こんなに来てもらって大丈夫なのかと思うほど(笑)。親切に対応していただき、コスパが良いと感じました。
ーインド高度人材を採用することで、会社にはどのような変化があるでしょうか。今後の展望を教えてください。
商品設計やプログラミングの内製化はまだまだ先だと思っていましたが、それが一気に近づいてきたと感じています。加えて、彼らを雇用してみて世界標準のシステムがわかってきたので、今作っているものとは別のシステム開発では、彼らの推奨するもので作っていきたいと考えています。
ー来年の2024年には、インドから来日して働かれることになるんですよね。
そうですね。今はアルバイトとして必要なものを開発してもらっていますが、来日したら新しい企画のシステム開発にも着手したいと考えています。
私たちは自社で住宅を作れるので、彼らを受け入れるための宿舎も建設中。他社からも外国人財の宿舎にと引き合いが多い、完全木構造のユニットハウスを作っています。彼らの来日を楽しみにしている社員が多いですね。私も今度、初めてインドに行くんですよ。採用がなければ行く機会もなかったと思うので、いろいろな面で新しい機会になると思っています。
実は長崎県でインド高度人材を採用した企業は初めてだったそうで、長崎県知事が知事会で話題にしてくれたそうです。社外でも注目されているのを感じています。
実際にインターンをしてみて、インド高度人材は「こんなに自分で勉強するんだ」と驚き、外国人採用のイメージが変わりました。自分で学び、どんどん成長していってくれる人材は会社にとって必要です。うまくいきそうなら、次のインターンシップもTechJapanさんと一緒に進めたいと考えています。今度は社内に先輩がいますから、進めやすいと思いますね。